ミジンコ(タマミジンコやオオミジンコ)を室内で培養するための方法をご紹介します!
メダカや熱帯魚の餌用にミジンコを繁殖させたいけど外には置けないとか、害虫の混入を避けたいとかで室内で育てたい事ってあると思います。
そこで一番問題となるのは培養時の臭いですが、色々な方法を試した中でわかった臭わない飼育方法をまとめてみました。
この記事はこんな感じの方を対象に書いてます!
- ミジンコ培養をしたいけど臭いのは嫌な人
- これからミジンコ培養に挑戦する人、今思うように結果が出ていない人
- マンションや集合住宅、室内等でなるべく臭わない培養方法を探している人
目次
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ミジンコ培養って臭い…その原因は?
ミジンコ培養が臭い(臭くなりやすい)原因は使う餌と飼育水の管理に原因があります。
ミジンコ培養は濾過器を使わずに栄養満点の餌を与えながら止水環境で育てるので、水が澱み腐りやすくそこからドブのような臭いが発生してきます。
ちょっとした事でミジンコの飼育水は腐りますが、これまでに管理人が体験した臭い経験はというと、
- ドライイーストの与えすぎ
- 園芸用の有機肥料を使いすぎ
- 爆殖後の大量死で死骸が溜まりすぎた
- 濃縮クロレラを買ったらハズレで酷い臭い
- 飼育水をかき混ぜてたら底の方が腐ってた
というのがあります。ミジンコを飼いだしてから何度この臭い思いをしたかわかりません…
臭わないミジンコ培養のポイントは餌と飼育水の管理方法にありますので次項で詳しく解説します。
室内培養でおすすめの餌
ミジンコを室内培養する時はなるべく臭いの少ない餌を選択する必要があります。
一番はクロレラ等の緑藻類が入ったグリーンウォーターを使う事で、これは緑藻自体が生きているので食べ残しが出ても腐りにくいです。ただし、グリーンウォーターを作る手間や、作ったグリーンウォーターの品質が安定しない等の問題もあります。
よくミジンコの飼育で使われるドライイーストは、安価で入手しやすく水で溶かして与えるだけなので使いやすいですが、餌が沈殿しやすく食べ残しが腐りやすいという問題があります。
どれも一長一短があり悩ましい所ですが、色々試した中で室内培養に使える餌を下記にまとめます。
餌 | 増えやすさ | 臭い | コスト | 保存性 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
濃縮生クロレラ | よく増える | 原液は臭い | 高い | 30日程度 | 低品質の物は酷く臭い |
グリーンウォーター | 増える | ほぼ無臭 | 安い | 管理次第 | 良し悪しは品質次第 |
ドライイースト | まずまず | やや臭う | 安い | 一応消費期限あり | 残餌が腐りやすい |
発酵油かす | 一応増える | やや臭う | 安い | 長期保存可 | 補助飼料としては有用? |
発酵マット(使い方) | 増える | 臭くは無い | 安い | 保存可 | 微生物の宝庫 |
ソイル | 維持は可能 | ほぼ無臭 | 高い | 長期保存可 | 直接の餌にはならない |
次にそれぞれのメリットとデメリットを解説します。
濃縮生クロレラ
濃縮生クロレラはミジンコがよく増え、メーカー製造品であれば品質も安定しているのでミジンコ増殖の再現性が高い優れた餌になります。
デメリットはコストが高い、原液が臭い、消費期限が短い(製造から約30日、要冷蔵)というのが欠点です。
濃縮生クロレラの匂いは例えるとメタン臭?のような臭いです。人によっては耐えられない臭いかもですが、水で薄めてしまえばましになるので室内でも十分利用は可能です。
ただ巷には恐ろしく臭い濃縮生クロレラも存在します!
信頼できるショップから買ったので腐ってるという事は無いと思いますが、始めからドブのような酷い悪臭がしました…
そのような濃縮生クロレラは薄めても流石に臭いので注意が必要です。(ミジンコは増えますが)
グリーンウォーター
グリーンウォーターは緑藻が自然繁殖している水の事を指しますが、緑藻自体が生きているので臭いもほぼ無く非常に使いやすい餌です。
ただ、発生した緑藻の種類によってミジンコの増え方が変わり、グリーンウォーターは定期的に植え継ぎをして製造する必要がある為、手間と余分なスペースが必要となります。
また、管理が悪いと別の緑藻や生物が混入してバランスが崩れてしまったりするので、品質が変わらないように維持するのは結構難しいものです。
ですが、何の緑藻が繁殖するかは運次第ですし、出来たグリーンウォーターに別の緑藻が混入するとバランスが崩れ全く別の物になってしまう事があります。
ドライイースト
ミジンコの餌として有名なドライイーストは入手がしやすく安いのでつい使いたくなりますが、意外と扱いにくく水を腐らせやすいです。
ドライイーストを餌とする場合、水が薄っすら濁る程度を与え透き通ってきたら追加するというのが定説ですが、ドライイーストは底に沈みやすく一見減ったように見えるので追加の加減が難しいです。
水が透き通っても底に溜まっていればそのイーストを巻き上げてミジンコは食べているようですが、増やそうと思ったらやはり餌は多めにしないと厳しいです。しかしそうすると、底にイーストがどんどん溜まり水が腐ってくるという始末。
初期飼料にイーストを添加する事はありますが、これだけで増やし続けるというのは今の所成功していません。
発酵油かす
屋外飼育では有機肥料の鶏糞を使う方法が有名ですが、代わりに発酵油かすを使う事も出来ます。
鶏糞は動物の排泄物なだけに酷い臭いがしますが、発酵油かすは臭いはかなり少ないです。利用しているのは魚粉や骨粉入の物ですが、過剰に使わなければ水も腐らずミジンコの良い飼育水を作る事ができます。
油かすそのものはミジンコの餌になりませんが、油かすから滲み出た成分を餌にバクテリアが繁殖しそれを食べているものと思われます。
油かすの成分が溶け出すと水が茶色になりますが、それにモヤモヤした水カビのような物が涌き始め白濁してきたら使い時です。
ただこちらもドライイーストと同じで単体使用だけで増殖させていくというのは少し難しいです。今の所は初期のベース水として使うと良い効果が出ています。
カブトムシ用の発酵マット
発酵マットはコストも安く使い方も簡単で、これを使った培養液はミジンコの飼育も安定しやすいです。
使ったのはカブトムシの幼虫用発酵マットですが、発酵しているマットであれば何でも良さそうです。発酵マットをミジンコが直接食べる訳ではありませんが、このマット自体にインフゾリア(単細胞生物)が繁殖しているようで、マットを水に浸けておくとこのインフゾリア達が繁殖しだします。
最初は油かすと同じくバクテリアの餌になるものだと思っていましたが、一晩水道水に浸けた発酵マット水を顕微鏡で覗くとインフゾリアが湧いていました。
インフゾリアは生き物なので、使うマットは新しい物が方が沸きやすいと思いますが下記で使い方をまとめましたので、興味がある方はどうぞ。
ソイル
水草を育てる時に使うアクアリウム用品の低床、栄養系ソイルでもミジンコが繁殖します。
こちらの原理も発酵油かすと同じで、ソイルの栄養を元に繁殖したバクテリアをミジンコが食べているものと思われます。
バクテリアはソイルの表面に沸きやすい為か、ミジンコがソイルの表面をなぞるように泳いでいる姿を観察できます。ソイルは飼育容器を二三日、日当たりに放置してからミジンコを入れて使ってますが、魚等を飼っている場合はその飼育水を使った方が立ち上がりは早いです。
あとは日当たりの良い場所にこの容器を設置しておけば給餌無しでの維持も可能となりますが、ミジンコが一気に増えてしまった場合は間引かないと餌を食べ尽くして全滅しやすいです。
バランスが取れるまでは世話をしつつ、補助的に緑藻も与えればそれもソイルの栄養分で増殖するので安定しやすいです。
ソイルはADA社のアマゾニアで試しましたが、無臭ですし水も濁らないので鑑賞目的で飼うならオススメです。
アマゾニアは腐葉土が原料となっているようなので、コストを考えれば腐葉土をそのまま使うという方法もありだと思います。
飼育水の管理方法
次はミジンコの飼育水の管理方法について解説します。
ミジンコは栄養タップリの餌を食べて沢山水を汚しますが、魚と違って強力なろ過装置は使えません。
その為、飼育水がダメになりやすいのですが、これまで試した中で有効だった管理方法を書いていきます。
エアレーション
ミジンコにエアレーションはNGとよく聞きますが、水深が深い容器の時はあった方がよく増えました。
エアレーションは酸素の供給だけでなく、沈殿しやすい餌が撹拌され漂うのでミジンコが食べやすくなるのかなと考えています。
ただ、強いエアレーションや浅い容器でエアレーションをすると明らかに繁殖速度が落ちます。水流が無いのがミジンコにとっては一番良いみたいなので、エアレーションをして上手く増えない場合は一度外してみる事をおすすめします。
スポンジフィルター
水槽みたいな水深が深い容器を使う場合はスポンジフィルターが役立ちます。ただし、スポンジフィルターを単体で使ってしまうと水流が出来てしまうので、排水口に少し工夫が必要です。
おすすめは「テトラ ツインブリラント フィルター」と「テトラ P-1フィルター」の組み合わせで、ブリラントフィルターの排水口にP-1フィルターを接続する事により、水流をかなり弱める事ができます。
また、P-1フィルターが半分以上水面から出るように設置すればエアー量を強めても全く問題ありません。詳しくは別記事で解説しますが、酸素も十分に供給できて水質も維持しやすいため管理が非常に楽です。
ただ、スポンジは目詰まりしやすくそのままだと1ヶ月程度(※1)しか持ちませんが、なるべくほったらかしにしたい場合に有効です。
定期リセットをする
一番の管理方法はやっぱり飼育水の定期リセットかなと思います。
スポンジフィルターを使えば飼育水の寿命を遅らせる事は出来ますが、同じ水だと徐々にミジンコが増えなくなってきます。
そういう時は思い切ってリセットした方が爆殖しやすいので、ミジンコを一気に増やしたい時はそうしてます。
飼育容器と置き場所について
最後はミジンコを入れる容器と置き場所について簡単に書きます。
ミジンコを室内培養する場合は室温を20度以上28度以下に保ち、蓋付きのタッパー容器を複数ローテーションして使うのが便利です。
容器は1L以上入ればOKで、水深より面積が広い方がミジンコが増えやすい気がします。タッパーは蓋があるので少々臭っても部屋に漏れませんし、リセット時に洗浄もしやすく使いやすいです。
逆に使いにくいのがペットボトルや水槽で、ペットボトルは口が狭いのでミジンコを掬ったりメンテナンスが面倒。水槽は水量が多いためリセットの時が面倒という感想です。
後は置き場所ですがこれは基本何処でも大丈夫です。ミジンコには光があっても無くても餌さえあればよく増えてくれます。
まとめ
以上が現在わかっている室内で臭わずミジンコを培養する方法です。
大量培養にはそれ相応の面積が必要になりますが、コツを掴めばオヤツ程度にはミジンコをあげられるようになるので是非挑戦してみてください。
また新しい事を発見したらこの記事に追記していきます。